アトピーの根本原因がついに解明!アトピーを改善する有効成分とは【フィラグリン遺伝子】

アトピー
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アトピー性皮膚炎の根本原因のひとつが遂に解明されました。

アトピーの治療にパラダイムシフトが起きようとしています。

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原因はフィラグリンの生成異常

フィラグリンとは

肌のバリア機能の形成や、水分保持に重要な役割を果たしているたんぱく質です。

肌がもつバリア機能の9割を担うと云われる角層の角質細胞は、このフィラグリンやケラチン、それらの分解産物に満たされていることによってバリア機能の一旦を担っています。このバリア機能によって、外界からのアレルゲンの進入を防いでいます。

参考:アトピー性皮膚炎の多様な病態:角層バリア障害/フィラグリン遺伝子変異から内因性アトピーまで

フィラグリンの生成異常がアトピーの原因のひとつとなる

アトピー性皮膚炎の発症には3つの柱が相互に影響し合っています。

<アトピー発症のメカニズム>
1.バリア機能の異常  ・・・ アレルゲンの進入を許し、免疫反応を誘発
2.免疫システムの破綻 ・・・ 過剰な免疫反応(アレルギー)、かゆみの誘発
3.かゆみの存在    ・・・ 掻くことによるバリア機能の破壊

そしてアトピー性皮膚炎の原因となりうるバリア機能の異常の原因として、フィラグリンの生成異常が影響しているということが新たに判明しました。

2010年ごろからもフィラグリン遺伝子変異とアトピーの関係は示唆されていましたが、英ニューカッスル大学の研究者によって、確かにフィラグリンの不足だけでアトピー性皮膚炎が生じるとはっきり断定されました。

参考:アトピー性皮膚炎の根本的原因がついに突き止められる。効果的な治療につながることが期待される(英研究)
参考:『Journal of Allergy and Clinical Immunology』(2017年11月付)

日本のアトピー性皮膚炎の患者のうち、20%~30%の割合でフィラグリン遺伝子変異が認められることがわかっています。

そして、中程度から重症のアトピー患者においてはフィラグリン遺伝子の変異にかかわらず、フィラグリン蛋白の生成が少ないことが報告されています。一方、アトピー患者においてはほぼすべての方でフィラグリン蛋白が低下しているともいわれています。

参考:1.バリア機能と皮膚免疫 – J-Stage
参考:第65回日本アレルギー学会①シンポジウム8-1アトピー性皮膚炎におけるトランスレーショナルリサーチ

アトピーの新治療方法の開発が期待される

このことからフィラグリンの生成を促すことができればアトピーの改善ができると考えられ、フィラグリンをターゲットとしたアトピー性皮膚炎の新治療方法の開発が多く行われています。

これまでの治療方法は、免疫システムやかゆみをターゲットにしたものでしたが、バリア機能をターゲットにしたフィラグリンの促進薬が開発されれば、アトピー治療も大きく躍進することは間違いないでしょう。

<アトピー治療のアプローチ>
1.バリア機能の異常  ・・・ (新)フィラグリン促進薬
2.免疫システムの破綻 ・・・ (既)ステロイド外用剤、タクロリムス外用剤
3.かゆみの存在    ・・・ (既)抗ヒスタミン内服薬

治療薬について

薬の開発にはどれぐらいかかる?

1つのくすりを開発する期間は、9~17年といわれています。研究対象となったほとんどの候補物質は、途中の段階で開発が断念されるほど、くすりの開発を成功させるのはたいへん難しいことなのです。

引用:Q33 1つのくすりを開発するのに、どれくらいの年月がかかりますか。

くすりの開発とそれを市場に出すには、長い時間と多くの開発費用が必要です。

(1)基礎研究(2~3年)
(2)非臨床試験(3~5年) ※ 動物(ラットなど)などを用いた試験
(3)臨床試験(3~7年)  ※ ヒトを用いた試験
(4)承認申請と審査(1~2年)

くすりの実用化には、早いものでも研究を開始してから10年前後はかかってしまうようです。

フィラグリン促進薬はいつごろ完成しそうか?

実用段階になるのは2025年前後になるのではないでしょうか。

今回のフィラグリンに関する大きな発見は最近のことではありますが、それまでもフィラグリンがアトピーの原因であることは既に示唆されており、多くの研究が行われています。

2013年9月には、アトピー性皮膚炎のマウスを用いた実験(非臨床試験)で症状の改善を確認することができたJTC801という治療薬を京都大学が発表しています。

ですが、フィラグリンを焦点としてアトピー性皮膚炎に関する研究は2019年現在でも非臨床試験の段階のものがほとんどのようです。(臨床試験の情報は見つけられませんでした。)

2020年ごろから臨床試験が開始できたとした場合でも、臨床試験と承認申請と審査で5年程度がかかることは見込まれますので、2025年前後になるのではというのが予想となります。

今回の研究結果はアトピー患者にとっては朗報ではありますが、治療薬はもう少し気長に待つ必要がありそうです。



民間療法への応用

フィラグリンに対するアプローチは今すぐできないのか

これだけ画期的な研究結果が出たのですが、治療薬の実用化が2025年とは少し先が長すぎるように思えます。

かくいう私もずっとアトピーに悩まされており、もしこの研究結果を応用できるということであれば是非活用したいと考えます。

アトピーに関する民間療法は、経験則から有効だと言われるものも多く存在しますが、今回のような研究の結果に基づくものであれば効果を期待できる可能性は高いと言えます。

フィラグリン発現の促進作用を持つものがすでに確認されている

フィラグリンに関する多くの研究が行われる中で、JTC801のような化学物質や遺伝子治療薬などのアプローチが行われるほかにも、生薬エキスや精油などにおいてもフィラグリン発現の促進作用を持つものが確認されています。

これらを応用した化粧品やサプリメントなどの開発は行われていますが、生薬エキスや製油などであれば自ら入手することも可能です。

佐藤製薬株式会社による研究

インチンコウエキス(カワラヨモギのエキス)

佐藤製薬株式会社(社長:佐藤誠一)は、皮膚機能と生薬についての研究を進め、天然保湿因子(Natural Moisturizing Factor; 略称NMF)の素となる「フィラグリン*1」の発現を促進する生薬エキスとしてインチンコウエキス*2を見出しました。

*2 インチンコウエキス:生薬名 茵陳蒿(インチンコウ)として第十六改正日本薬局方に収載されている生薬。キク科植物であるカワラヨモギの成熟した頭花を乾燥させて得られる生薬で、茵蔯蒿湯、茵蔯五苓散などの漢方にも配合されている。

引用: インチンコウエキスにフィラグリン発現促進作用を確認 

インチンコウ(カワラヨモギ)は、漢方薬の他にもスキンケア商品の成分としても使用されている植物です。ヨモギ茶も健康に良いとして親しまれています。

内服でも外用でも良いとされてきた植物ではありますが、フィラグリン発現促進作用については、佐藤製薬の上記情報からは皮膚への外用に関する記述しか見つけられませんでした。

インチンコウエキスは皮膚への外用でも角層を透過して効果を発揮することが期待されます。

皮膚への外用”でも“とあるので、内服でも効果があるようにも読み取れますが。

ですが、少なくともインチンコウエキスを含有したスキンケア商品は、フィラグリン発現の効果を期待することができそうです。

市場を調べてみると、ヨモギ含有の商品は多く見つかりますが「カワラヨモギ」が明確に含まれている商品は限定されることがわかりました。ですがそれだけに「カワラヨモギ」が含有される商品についてはレビューの結果も軒並み良く、効果のほどをうかがわせます。

自然派よもぎ石鹸

カワラヨモギの含有は確認できませんでしが、レビューも良好な商品です。香りも良いようで、使い心地がよさそうです。

Sharon Soap シャロンナチュラルソープ


Sharon Soap シャロンナチュラルソープ 天然由来植物成分 美肌石鹸

なかなか高額な商品ですが、成分に「カワラヨモギ花エキス」が含まれる商品です。レビューも良好で、この商品を使い続けてアトピーが治ったとの声も。

アルテナチュラル(カワラヨモギクリーム)

全身用よもぎ薬用クリームで赤ちゃんにも使えるそうです。成分表を見ても「その他の成分」の一番最初に「カワラヨモギエキス」があるように、しっかりとエキスが入っていると思われます。(※ 成分表には、全成分を配合量の多い順で記載するルールがある)

また、知ってか知らずか「丁子(チョウジ)エキス」が配合されています。実はチョウジ抽出物についても、フィラグリン産生促進剤として提案されている成分のひとつです。

複数の成分による相乗効果も期待でき、効果の期待できる商品と思われます。

ADリッチクリーム

数あるアトピー性皮膚炎向けのスキンケア商品の中で、数少ない「カワラヨモギ花エキス」が含まれている商品のひとつです。この商品も知ってか知らずか「チョウジエキス」が含まれているのもポイントです。

また、本来のこの商品の売りは業界初のかゆみの原因である黄色ブドウ球菌にピンポイントで働く、抗体入りのダチョウ黄卵エキスを配合した美容クリームである点です。

つまりこの商品は、アトピー治療に必要なアプローチのうち、2つを兼ね備えていることになります。

1.バリア機能の異常 ・・・ フィラグリン促進薬(カワラヨモギ、チョウジ)
3.かゆみの存在   ・・・ 黄色ブドウ球菌を抑制(ダチョウ黄卵)

なお製品紹介のページには「アトピーでも使って大丈夫ですか?」というQ&Aがありパッチテストが勧められています。

ですが、こちらのページでは以下のようにあるため、心配な方はぐらいに思っておいたほうが良いかもしれません。

アトピーの方には是非とも試していただきたい商品になります。
お肌のかゆみの原因は、黄色ブドウ球菌の異常繁殖が原因であり、ADリッチクリームを塗っていただくことで、お肌のpHバランスを整え、黄色ブドウ球菌を正常に保つことが出来れば、かゆみに悩まされている方々の悩みを解消できるのではないかと考え作られています。

500円のトライアル版もあるので、まずは手軽に試してみることをおすすめします。

ADリッチクリーム

カワラヨモギエキス

ひとつの強力な手段としては、そのままエキスを入手してしまう方法があります。エキスをそのまま精製水などで薄めれば化粧水として使用でき、手作りのスキンケア用品にも使うことができます。

株式会社資生堂の特許情報

皮膚の保湿機能の向上に関与する新規のフィラグリン遺伝子の発現を促進する物質の提供。
フィラグリン遺伝子が約24時間周期のリズム性を持って発現が増減していることを見出し、候補物質を添加後、発現が最大となる時間において候補物質をスクリーニングし、サンショウエキス、3-(1’-ピペリジン)-プロピオン酸、ゼラニウムオイル、サイプレスオイル、ローズオイル、ガルバナムオイル、ペッパーオイル、バジルオイル、o-トルイル酸メチル、メチルアンスラニレート、ジメチルアンスラニレートをフィラグリン遺伝子発現促進剤として同定した。

引用: WO2014024518A1 フィラグリン遺伝子発現促進剤

ポイントは2つ。

フィラグリンは特定の時間に多く生成される

フィラグリンの生成にはリズムがあり特定の時間に多く生成される。そのため、その時間に合わせてフィラグリン遺伝子発現促進剤を使用すると効果が高くなる。

フィラグリンの生成のピークは「午前7時~9時」であると推定され、その前後でゆるやかに減少する。そして、促進剤はその18~20時間前に使用するのが好ましい。つまり、午後1時前後(13時前後)に使用するのがもっとも好ましい

様々なフィラグリン遺伝子発現促進剤を導き出した

上記のリズムに合わせ検証した結果、いくつかの物質において、フィラグリン遺伝子発現の促進剤を導き出した。

これらは単独で用いても良いし組み合わせても良い。

精油など

促進剤の配合例としてルームフレグランス、クリーム、キャンディーなどが挙げられていることから、摂取する方法は外用でも内服でも良いようす。

導き出されたフィラグリン促進剤としてアロマオイルや香辛料、香草のエキスやオイルがあります。これらであれば、生活に取り入れるのも手軽にできそうですね。

以下に列挙します。

サンショウエキス
ぺッパ一オイル
バジルオイル
ゼラニウ厶オイル
サイプレスオイル
ローズオイル
ガルバナムオイル

科学成分

0-卜ルイル酸メチル
メチルアンスラニレ一卜
ジメチルアンスラニレ一卜
3-(Γ-ピペリジン)-プロピオン酸

既知の成分

以下の成分についても、フィラグリン遺伝子発現促進の効果が知られているとのこと。

ワイルドタイム抽出物
チョウジ抽出物
サルビア抽出物
エクトイン

さいごに

アトピーで悩んでいる人にとっては画期的な研究結果であることに間違いありません。

治療薬が早く実用化されることを願うばかりです。

治療薬を利用できるようになるのはまだまだ先と思われますが、インチンコウエキス(カワラヨモギのエキス)のように、これまでは肌の保湿に良いぐらいに思われていただけでしたが、根本原因に作用する効果をもった成分が研究で確認されてきました

これらの成分は科学薬品だけでなく、市場で手に入れることができるものもあるため、まだまだ時間のかかる治療薬を待たずともこの画期的な研究結果の恩恵を受けること可能です。

積極的に最新の情報を取り入れ、快適な毎日をおくれるようになることを願います。

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こんにちは、プカプカです。ふまじめなSE。
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